正式には彼岸会(ひがんえ)と呼ばれるインドや中国にもない我が国独自の習慣です。
春分・秋分の日をはさんで前後3日の一週間、ご先祖様の供養をしたりお墓参りに行ったりします。
お彼岸になるとテレビのニュースで必ずといってよいほどお墓参りの様子が流れるように、日本人にとって親しみのある行事となっています。
『彼岸』という言葉はサンスクリット語のパーラミター(波羅蜜多)の漢訳で『到彼岸』を略したものです。 現在、私たちが住んでいるこの迷いの世界は此岸 (しがん)であり、仏の悟りの世界である彼岸に渡ることを目的とするのが本来の彼岸会の意味です。
お彼岸について
正式には彼岸会(ひがんえ)と呼ばれるインドや中国にもない我が国独自の習慣です。春分・秋分の日をはさんで前後3日の一週間、ご先祖様の供養をしたりお墓参りに行ったりします。
さて、悟りの世界に入るには次の実践が必要とされます。
- 布施(財施=財を施すこと)(法施=真理を教えること)(無畏怖=安心を与えること)
- 持戒(戒律を守ること)
- 忍辱(にんにく 苦しさに耐えること)
- 精進(はげむこと、努力をすること)
- 禅定(心を安定させること)
- 智慧(真理を見抜く力を身につけること)
つまり本来、彼岸とは先祖供養のためだけではなく、悟りの世界へ渡るために自ら の行いを省みる期間なのです。
では、なぜ春分・秋分の時期に彼岸会が行われるようになったのでしょう?
仏教的に見ますと、春分・秋分は昼夜の長さが同じになることから仏教の『中道』の教え(かたよらない心)にかなうとか、 お彼岸には太陽が真東から昇って真 西に沈むことから極楽西方浄土の阿弥陀如来を 礼拝するのにふさわしいから、などの説があります。
しかし実際のところは、『暑さ寒さも彼岸まで』とよく言われるように、春分・秋分は日本人の農耕生活の 節目として豊作を 願うお祭りの行事などが古くから行 われ、それらとも関連しながら日本独特の年中行事になっていったようです。
お彼岸には、お仏壇のお手入れ(掃除)をしたり、お寺参り、お墓参りをします。
お仏壇に、ぼたもち(おはぎ)をお供えすることも一般的に行われます。『入りすり焼き餅、中日ぼたもち、明け団子』という言葉を聞いた事のある方も多いでしょう。『明け団 子』はこのあたりでは、糸きり団子をよくお供えします。
ていねいなお宅では霊供膳(れいくぜん、れいぜんなどと呼 ばれます)もお供えします。
そのほかに、静岡市周辺の特徴あるお彼岸のお供えとして三段盛 (さんだんもり)があります。これは静岡県(中部地方中心に)で昔から用いられてきた仏具で、ご葬儀後から、四十九日、百ケ日、一周 忌、その後のご法事、お彼岸、お盆などに飾ります。一番上に積み団子、真ん中にお菓子、一番下に果物をお供えします。(左右同じにすることが多い)